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イベント報告:さいたま新都心地域冷暖房センターを取材しました!

取材の概要

施設名称:さいたま新都心地域冷暖房センター

所在地:さいたま市中央区新都心7-5

取材日時:令和3年11月22日(月)

取材者:さいたま市地球温暖化対策地域協議会運営委員

取材ご対応者様

(写真左:東京ガス株式会社埼玉支社副支社長 小中野様、写真右:さいたま新都心地域冷暖房センター所長 宮原様)

※普段は一般見学の受付はしていないとのことですが、今回の取材にあたり、特別に見学の許可をいただきました。

地域冷暖房センターの取組内容を紹介します!

 

(1)地域冷暖房センターとは

地域冷暖房センターは、それぞれ定められたエリア内の熱供給を通して、エネルギーをマネジメントしており、AIやIoTを活用・反映した制御を行っている施設です。

エリア内の事業者は地域冷暖房センターのシステムを導入する場合は、自社に熱源機器を導入する必要がなく、空いたスペースを別の用途に利用できるなど、熱エネルギーの供給だけでなく、省スペース化のメリットもあります。

以下にガス冷房の仕組みを紹介します。

(2)地域冷暖房センターの役割

地域内のエネルギーマネジメントを行っていくうえで、供給を途絶えさせてはいけない、安定した供給を行わないといけないという重い責任を担っています。また、CO2の排出抑制やエネルギーロスを抑えるなど温暖化への対策にも寄与しています。

(3)地域冷暖房センターの歴史

1970年2月に全国初となる地域冷暖房センターが大阪府にて供給開始。翌年の1971年4月に首都圏初となる新宿新都心にて供給が開始となり50年の歴史があります。その後、様々な場所に供給が開始され、2000年4月、さいたま新都心の街開きと同時にさいたま新都心地域冷暖房センターが供給開始となりました(埼玉県内で唯一の地域冷暖房センター)。

(4)地域冷暖房センターの供給範囲

地域冷暖房センターは全国で134箇所(令和元年度)あり、都内では約60箇所以上設置されています。

以下の表は、東京ガスエンジニアリングソリューションズが展開している地域冷暖房センターの一覧です。

※合計16地区

(5)さいたま新都心地域冷暖房センターの供給範囲

さいたま新都心地域冷暖房センターは埼玉県内で唯一のセンターです。

以下の表は、さいたま新都心地域冷暖房センターにて供給している事業所の一覧です。

※合計13事業者

(6)全国初、病院と地域冷暖房センターとの連携

さいたま新都心地域冷暖房センターと埼玉県立小児医療センターとの間で、全国初の取組を行っています。

埼玉県立小児医療センターならびにさいたま赤十字病院においては、エネルギーの供給を途絶えさせてはいけない性質を考慮し、自前でエネルギーを調達する必要があると考えていることから、病院内に熱源設備を整えるとともにさいたま新都心地域冷暖房センターからの熱供給も受けており、相互が連携して最適運用をすることで効率よくエネルギーを利用しております。さらに、埼玉県立小児医療センターでは熱の相互融通も可能なシステムを構築しております。これは全国初の取り組みです。

(7)災害との関わり

2011年の東日本大震災の際には計画停電がありました。さいたま新都心地域冷暖房センターも例外ではなく、停電となりましたが、ガスタービンコージェネレーションを自立運転し発電した電力でボイラーを運転させ、被災者の避難場所となっていたさいたまスーパーアリーナに暖房用の温熱を供給した実績があります。

なお、現在は施設内全設備の運転を可能とするため、大型のガスエンジン発電機を導入・整備しております。

(8)さいたま新都心地域冷暖房センターと地域との関わり

さいたま新都心地域冷暖房センターは周辺地域へ積極的に貢献していきたいという想いから様々な活動をしています。

さいたま新都心地域冷暖房センターの設備を紹介します!

(1)ガスタービンコージェネレーションシステム

ガスタービンを動力源として発電を行うとともに、排ガスの熱を効率よく蒸気として回収するシステムです。エネルギーを必要とするその建物で製造するオンサイトシステムのため、送電などのエネルギー輸送に伴うロスがありません。このシステムのエネルギー利用効率は70〜80%と非常に高く、大幅な省エネルギーを実現し、CO2削減にも貢献します。

また、2019年12月のリニューアル工事により、7.800kWの高効率ガスエンジンコージェネレーションシステムが導入されました。

(ガスタービンコージェネレーションシステム)

(ガスエンジンコージェネレーションシステム)

(2)ボイラー設備

同センターでは2つの方式のボイラーを導入しています。「炉筒煙管ボイラー」は、保有水量がきわめて大きく、圧力や水位の変動が安定しています。「水管ボイラー」は、コンパクトで大容量の蒸気を発生させることができます。いずれも低NOxバーナーと排ガス再循環システムの採用により、NOx排出濃度を40ppm以下に抑えています。

(水管ボイラー)

(炉筒煙管ボイラー)

(3)冷凍機設備

同センターでは、冷凍機設備に「蒸気吸収冷凍機」を採用しています。これは、ボイラーでつくられた蒸気の熱を使って冷水をつくる装置です。冷凍能力は現在26,400kW で、オゾン層を破壊するフロンを使わないため、地球にやさしい冷凍機として注目されています。

また、2019年12月のリニューアル工事により、廃熱を活用する温水吸収式冷凍機や高効率電動ターボ冷凍機が導入されました。

(温水吸収式冷凍機)

(高効率電動ターボ冷凍機)

(4)冷却塔設備

冷却塔は、冷凍機で使用されて温度の上がった冷却水を、屋外の空気と水の気化熱を利用して冷やす装置です。効率よく冷やすためには、できるだけ空気に触れる面積を広く、時間を長くする必要があります。そのため、限られたスペースで冷却水を効率的に冷やすことのできる設計がなされています。

また、同センターでは、約27ha におよぶ地域に冷水と蒸気を供給しています。供給方式ですが、冷水の往き・還り、蒸気及び凝縮水をそれぞれ独立した導管で供給する4管方式を採用しています。地域導管の総延長は約8kmで、主要導管のほとんどが共同溝内に敷設されています。

(さいたま新都心地区・共同溝の図)

(冷却水配管)

ご担当者様の声

半日、センター内を案内してくださったセンター所長の宮原様は「さいたま新都心地域冷暖房センターは引き続き、さいたま新都心の企業や市民の方々のために安心・安全で賑わいのあるまちづくりに貢献していきたいです。費用の面などでハードルは高いですが、将来的には熱の供給だけでなく電気の供給もできるようになればと思っております」と笑顔で話されました。

最後に

取材を通して、地域冷暖房センターは地域のエネルギー供給だけでなく、災害時への対応、環境への配慮、地域への貢献など、様々な活動を行っており、地域内の人々の安心・安全でにぎわいのある生活に大きく貢献していると感じました。本取材内容を目にされた方が、地域冷暖房センターのことを知り、取組内容が広まると幸いです。

さいたま市環境キャラクター さいちゃん
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さいちゃん

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